教材作成の資料


 英語

ここに紹介さしあげた山並先生は、

「言語の理解には語源の知識が必要だ」と説いておられます。私もその意見に賛成です。英語を教える以上、ラテン語、さらにはその源流である印度ヨーロッパ語までを視野に入れるべきだと考えております。勿論、生徒にこの知識を強要することはありません。教える側のスタンスの問題です。 曰く、「いかなる言語も、言語の生い立ちである語源を探っていくと、たどりつくところは単音節の音声語である。たとえば、日本語の祖語である大和言葉も、単音節の音声語から始まった。なせばなる、なまえ、などの「な」という音は、自然に私たちの耳の深いところを刺激し、「うまれる」というもとの意味を思い出させる。こうした単音節の音が言葉の最小単位として発音され意味を伝え、しだいに複雑に組み合わされて高度な内容を伝えるようになり、やがて一つの言葉が出来上がる。」とおっしゃっています。

英語の歴史

 周知のごとく、原始言語には文字がありません。音から伝達が始まる、いわゆる「単音節」の状態です。残念なことに、この頃の言語がいかなるものであったかという研究は困難を極めます。従ってここでは、あくまで文字として残っている時代以降をご紹介します。

 紀元前1000年ごろ、辺境のブリテン島にもローマ軍は進行してきました。ここでラテン語が流入します。次に西暦400年ごろ、アングル族、サクソン族、ユート族などのゲルマン族がブリテン島に侵攻します。その結果、当時のゲルマン族の言語である原始ドイツ語が浸透していくことになります。さらに、1066年にフランスのノルマンディー公国に、イギリスはへースティングの戦いで敗れ、統治者が変わります。要するにフランス語の影響を受けることになったわけです。但し、ノルマンディー公国は、ノルマン人バイキングが建国した国ですから、純粋なフランス語ではなく、ノルマン訛りのフランス語です。

 こうして、北欧語と混じりあったケルト語に、ローマ語、ゲルマン語、フランス語が加わり、その後長い年月をかけて融合した語が、「英語」なわけです。

 

(山並 隆一著 「語源の音で聴き取る!英語リスニング」より)


政治経済

当教室では、基本的に大学の教科書に基づいて教材を作成しています。ここに記載した二冊は東大名誉教授・芦部先生と名古屋大学教授・浦部先生の著書です。

「大学で基本科目として講義される憲法学は、高校における「現代社会」や「政治経済」の一環として授業される憲法と、大きく異なるところである。最大の違いは、大学の憲法講義は、制度の枠組みの解説ではなく、その趣旨、目的および機能を、それに関する諸々の見解の比較検討と対立しまたは絡み合う諸々の価値・利益の比較衡量とを通じて、具体的に明らかにし、一定の結論を導き出す論理構成の能力を養うこと、を目的にしているということである。」

と芦部先生がご自身の著書の冒頭で述べられていることを引用するまでもなく、人の勉強・理解プロセスにおいて、年齢の差異は重要ではないと考えております。よって授業の資料として大学の教科書を選びました。勿論、そのまま使うわけではありません。でも高校レベルで省略されている「ものごとの因果関係」は、省略すべきではないと考えていますので、きちっと説明するつもりです。

例えば、帝国主義と植民地の因果の記載はあっても「株式会社」の潜在的な脅威との関係までは大抵は話が及んでいないでしょう。ましてや大恐慌とアドルフ・ヒトラーの因果関係に至っては皆無ではないでしょうか。こうした原理原則は、対象を理解するうえで削ってはいけないところだと考えております。従って、大学教育からすればあたりまえのことですが、従来の中高あたりの公共教育とは少し切り口が違ってきます。