政経の授業です。

 

 ではいつものように質問から始めます。

「景気」という言葉を聞いたことはありますか?

 それでは、次の質問です。

 「景気」とはなんですか?

 

 大体、いつもはこの辺りで回答につまる生徒が現れます。よく耳にしている言葉なのに本当はちゃんと理解していない。しかし、その事実に気が付かずに使用しているということです。社会科目の躓き、点数が安定化しない理由はこの辺にあるようです。

 

 では「景気」について説明します。

ケース1:大金持ちが100億円のものを購入したと考えてください。

ケース2:1億人が全員100円の買い物をしたします。

 

取引の合計金額はどちらも同じですね。では「景気」という面から考察しても両方のケースは同じと評価されるでしょうか?答えは「ノー」です。

 

 景気とは、市場で取り引きされる全体量ではなく、取引の回数で決まります。そうすると

 

ケース1では「1回」

ケース2では「1億回」

となります。

 

 従いまして、報道等で「景気が回復した」という表現は「皆さんの買い物の回数が増えてきましたね」ということなのです。

 

 それを実際に理解する数字は政府が発表する実質GDPです。

よく似た表現に名目GDPがありますが、この違いは、前者は取引回数の変化を示し、後者は取引金額に物価の変動を加味した数値です。

 

「景気」とはなにかということが理解できれば、どちらの数値を見ればいいかが、一目瞭然ですよね。