では授業を始めます。

「化学」と銘打っていますが、物理と化学の違いを一応押さえておきます。

化学とは「物の性質の変化に着目した学問」であるのに対し、物理は、「物の運動、つまり動きに着目した学問」ということです。日本人で最初にノーベル賞を受賞なされた湯川秀樹博士の研究は「原子核」についてでした。原子と聞くと化学を連想される方が多いですが博士が受賞されたノーベル賞は物理です。すなわち、陽子と中性子の動きから「中間子」というものの存在を予言したわけです。つまり。この発想は「動き」そのものなので「物理」の分野なわけです。

 

 さて、「化学」とくれば「原子」というイメージを持たれる方も多いでしょう。でも現在流布する「原子モデル」は、1911年に物理学者であるRutherfordが発表するまでは存在せずに、プラスとマイナスが混ざり合う団子みたいなイメージで考えられていました。科学は、「予想」と「証明」つまり「観測」の繰り返しですから、そうかなと思っても実際は間違っていたというのはよくあるケースなわけです。

 

 皆さんは「電流」という言葉を聞いたことがありますか?この電流というものも、こうした間違っていたケースの1つなわけです。本当は「電流」という現象は存在せず、「電子」が移動しているわけです。しかし、存在しない「電流」が、実際に存在する「電子の流れ」と真逆だったため、結構都合がよく、「電流」に基づいて新たな法則・発見が続いたわけです。「オームの法則」が典型です。

 

 V=I×R V(電圧)、I(電流)、R(抵抗)「オームの法則」

電流に抵抗をかければ、電圧に等しい力となる。要するに総量なわけですから向きは逆でも同じ数値が出てくるわけです。

 

 問題は、なぜ日本の教育はこの間違った「電流」のほうを「電子の流れ」の前に中学校等で教えるのか、ということです。

 

 それに関して私もわかりません。

 

 さて、化学は「ものの性質の変化について研究する学問」なわけですが、要するに例えば「酸素」は燃えますよね、でも「水素」と結合して「水」に変化したら燃えなくなるわけです。これが「性質の変化」です。この時、どのように酸素と水素が結びつくのかという運動に興味を持てば「物理」に向かい、「性質の変化」が気になれば「化学」となるわけです。