前置詞の授業です。
”by"についてお話します。「近く」という意味合いを持つ前置詞は2つあります。
"near"と”by"です。この両者の違いは、距離感にあります。
"near"の「近く」は目視できるという意味であるのに対し、
"by"は手を伸ばせば届く距離ということです。
”stand by me"という有名な歌があります。
直訳すると「そばに立って」ということになりますが、「手が届くほど近く」なわけですから
「準備する」「守る」という意味合いが生まれることになります。
さらに手が届くほど近いわけですから利用できるわけです。
そこから「手段・理由」という意味合いが加わりました。
"The old engine driven by steam"「その古いエンジンは蒸気で動く」
ちょっと昔の話に飛びます。今と違って身分制度のあった時代において、施政者の存在は絶対的なところがありました。平たく言えば、普通の人は偉い人に文句を言えない状態だったわけです。 従って、自分の領地の物差しの単位を、施政者の体の一部を基準にするなんてこともあったわけです。例えば「フィート」は元々足の裏を示す言葉ですが、現在でも距離を測る単位として残っています。「手の届く」という意味を持つ"BY"も似たような経緯を辿ることになります。もっとも現代社会では「距離」に関する意味はほぼ消えましたが、「単位」という概念の方は残りました。
They sell salt by the pound.「その店では、塩をポンド単位で売る。」
The number has been increasing by 20% .「その数は20%上昇した。」
ここでは”by"は2つの数の差を表します。差ということは「測った」結果ですよね。
「単位」という存在は「計測」する上での前提ですから、そこから「計測」して「差」を
表現するに至りました。